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ことこと、ゆらゆら。

  • 2024年1月7日
  • 読了時間: 3分

更新日:2024年11月1日

先日、電車に乗っておでかけした日のこと。


普段なら車で行くところなのですが道の混み具合や駐車場のことも考えて、片道1時間ほど電車に揺られてきました。

お天気がよかったので、まちを歩きたい気にもなったのです。


冬にしてはあたたかい日とはいえ足元をすり抜ける風はひやっと冷たく、予定より早くホームに停まった電車へいそいそ乗りこみました。




ことこと、ゆらゆら。

ぬるま湯のようにあたたかい車両のなんて快適なこと。

さっそく鞄から本を取り出して文字に目を落とします。ときおり紙面がぱっと輝くほど、窓から差しこむ陽の光は少しまぶしかったです。


はじめは快調にページをめくっていましたが目的地へ近づくほどにねむたくなってきました。

今日はしっかり寝たはずなのに。とうとう観念して本もまぶたも閉じることにしました。




ことこと、ゆらゆら。

降りる駅のひとつ、ふたつ手前からぼんやりする目を何度も瞬きして夢見心地で電車を降りました。

頭がはっきりしてきたのは、雑踏に混じって改札を抜け青空のもとに出てから。目的のお店へ歩きながら電車での記憶を反芻しました。


途中で睡魔にのみこまれたものの、とても心地よい読書の時間だったのです。まどろんでいるあいだも、なんだかしあわせだったなぁと満たされた気分。

駅から目的地への道すがら、空気は澄んで足どりも軽い。

はなうたを唄いたくなるくらいです。


行きたかったお店でもフラットにゆるりと過ごせて、短い滞在時間とは反比例で幸福値はぐんと高まりました。




ことこと、ゆらゆら。

一体どうしてなのだろう。

帰りの電車のなか、唐突に訪れたしあわせについて半寝の頭で考えました。

ずっと行きたかった場所や会いたかったひとと時間を過ごしせたのも大きな理由であることは確かです。


最寄り駅に着くころには陽が傾き、空の青は刻々と深まってゆく時間。街灯のつらなる住宅街を歩いていると、現実の世界へだんだん戻ってきたなぁとすこしほっとします。


なにかに似ている。この感覚を味わったのはどこだっけ。

そうして、ふと浮かんだのは映画館でした。




映画が終わるまでは出られない状態は、目的地に着くまでは降りられないことと似ている。

どちらも大声を出したり、走ったりしてはいけないし、映像や景色、音など目の前の物事に集中している。

そして眠ることもできる(推奨はできないけれど)。


トンネルや山間部を通ると電波が通じず、揺れもあるので、できること自体おのずと限られてきます。

そうなれば、もうわたしには本を読む以外にやることはありません。

外的な刺激、視界や聴覚からの情報量もカフェや屋外より少なく、集中しやすければ読書もはかどります。




現実と切り離され、静かな環境が整った車両。

やわらかな拘束のある空間は、もしかしたら読書にうってつけの場所なのかもしれません。





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